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2023/06/01

農機具メンテナンス～汎用エンジンばらしてみた

こんにちは。ストアセールスの川崎です。少し前にセット動噴を購入のお客様からお引取りした不動機を、今回ばらしてみました。自分は整備のスタッフではないので、普段ここまですることはありませんが、せっかくの機会なのでやってみました。まず、持ち込まれた当時から「他でみてもらったら、エンジンが終わってると言われた」と伺っていました。リコイルを引いてみると、一応引けるし、回ります。ただ、圧縮も無く、軸もスルスル～っと惰性で回ります。この時点でエンジン内部の破損が予想できましたが、なんせ実際見てみない事には分からないので、少しづつばらしてゆきます。とりあえずヘッドを外してみました。ここも初体験ですが…。燃料タンクやマフラー、キャブレター等を外してから取り掛かります。

ヘッドを外す

リコイルを引くとピストンが1㎝ほど上がる以外は動きがありません。シャフトとの連動を失っているようです。指でピストンの頭を押すと下に入ってゆきます。焼き付きはないですね。では更にばらしてゆきます。セット動噴のアルミ台からエンジンを降ろします。ポンプへの動力ベルトなども外しての作業になります。

エンジン内部を確認する

このようになっていました。コンロッド(コネクティングロッド)が折れています。ピストンのスカート部も破損。コンロッド内径部の傷が最も顕著です。素人ですので単なる想像ですが、理由は何であれエンジンオイルが少なくなり、クランクピンとの摩擦が限界に達して消耗、破損と繋がったのかなと思いました。ただ、ピストンの焼き付きやシリンダー内の傷が無いことを考えると、しっくりきません。発生時の状況や事実関係が判らないので、正直破損の原因は判りません。ただ、作業開始時に抜いたエンジンオイルは100mlほどしか入っていませんでした。どこかのタイミング（別のショップでみてもらった時？）に抜いたのかもしれません。入っていても時にはこのような事も起こり得るそうです。コンロッドボルトの締めすぎ、傾きによるオイルの偏り、室内への異物混入、オイルの種類や質、長時間の高回転連続使用、またそれらの複合的な要因などだそうです。シリンダ内部やピストン、ピストンリングなどに目立った傷などは無いように見えます。ブロック内側面には大きな削れキズがあります。クランクピンにも相応の傷があります。破損に至るまでのもの、破損時に周辺に出来たものがあると思います。

破損の確認

熱をもったのでしょうか。カウンターウェイトの一部に変色が見られます。

なんにせよ、コンロッド、クランクピン、ピストン、ピストンリング、ガスケット類等を交換し組めば直るのでしょうが、部品代、工賃、時間を考慮すると、結局買い替えで正解だったと思います。このお客様は業者の方でしたので、直ぐに替わりが必要でエンジンの載せ替えも難しかったこともあり、特売品のご紹介で落ち着きました。このように実際にエンジン内部を見てみると、その症状が理解できたと感じました。もし、これがオイル切れが原因であったとするのであれば、やはり日常的にオイル量の点検は大切だなとつくづく感じました。4サイクルガソリンエンジンのエンジンオイルが減るのはそれはそれで大きな問題を抱えていますし、多くなっている場合はガソリンのオーバーフローや水の混入が考えられます。水の混入の場合は、ミルクコーヒーのような色になるので判りやすいですし、ガソリンの場合は匂いが顕著にガソリン臭くなり、しゃばしゃば(粘度の低下）になるので、これも日頃見ていれば判るかと思います。兎に角、少しずつ汚れていくけれど、量はあまり変わらず規定量内、これが大切です。混入の場合は面倒でもオイル交換をしましょう。減っている場合はエンジンブローにも繋がりかねないので原因究明が必要です。今回のように比較的新しい機械の場合、それが保証期間内であれば、余り触らず販売店へ持ち込む事をお勧めします。今回の破損機械は当店での購入ではありませんでしたし、色々と手を付けられた後でしたので簡易診断の時点で交換をお勧めしましたが、正しい使い方での不具合であれば、それこそ初期不良に当たります。

皆さまも日頃何気なく使っている農機具たちの点検はしてあげてくださいね。保証があっても、オイルの規定量未充填などが起因の不具合などは対象外になってしまいます。末永いパートナーとして、最低限のケアをお願いします。では。