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太陽活動激化で地球がますます高温化?太陽フレアが与える農機具への影響とは
こんにちは。ストアスタッフの小出です。
10月になってもなお厳しい残暑が続いた日々から一転、ギラギラと痛かった太陽がようやく和らぎ、日中はめっきり秋めいて心地よい秋風が頬をうつようになりましたね。
猛烈な暑さのために例年よりも少し早めに開始されたという声が多く聞かれた今年の稲刈りシーズンも、この酷暑の中ではとても厳しいものだったと思います。
農家の皆様、本当にご苦労様でございました。
さて今年の太陽、というか、ここ数年の太陽の暑さ激しさには、ほとんど悪意のようなものすら感じるレベルで、筆舌に尽くしがたい暑さであると誰もが感じていることと思いますが、実際に太陽活動は2019年から始まったサイクル25が極大期に向かっておりまして、2025年をピークに活動を激化させています。とくにここ数か月はG4レベルの太陽フレアが立て続けに頻発するなど、太陽活動は極まってきているのです。
地球の気温上昇と太陽活動には強い相関関係がありまして、ここ数年の異常気象や温暖化などの要因の一つと考えられていますが、そのほかにも記憶に新しいフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大噴火もその一つで(あいかわらず鼻息が荒くなる名称ですね…)、噴火により成層圏まで舞い上がった海水は100tともいわれ、霧となった海水は地球の熱波を閉じ込める結果となり、今年の異常な高温化につながったと考える海外の研究報告があるのです。
この影響は今後10年続くと考えられていて、今後ますます地球の高温化は避けられない現実となってきているようです。噴火の報道は比較的一瞬だったので、もう自然の脅威は終わったものと考えていましたが、なかなかどうして、この世の神羅万象は時間と空間を限りなく網羅して、どこまでも影響しあっているのだなぁと実感します。
さて、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大噴火はまたの機会として、今回は太陽活動についてです。先ほどG4レベルの太陽フレアの発生と言いましたが、みなさんは太陽フレアが地球に与える影響を考えたことがありますでしょうか。
G4 は「猛烈に大きな」太陽フレアで、送電網の誤動作の可能性、通信障害の可能性を発生させるレベルです。最大はG5で、「極端に大きな」太陽フレアで、送電網などの損傷、人工衛星の障害、通信障害とあります。
これを実際に、過去に地球が体験したことがありました。
それは1859年に発生したキャリントン・イベントとよばれる強烈な太陽嵐でした。
キャリントン・イベント (キャリントン事象)
1859年の太陽嵐 – Wikipedia より 1859年9月1日から2日にかけて発生した記録上最大の磁気嵐。ハワイやカリブ海沿岸等、世界中でオーロラが観測され、ロッキー山脈では明るさのために鉱山夫が朝と勘違いして起きて朝食の支度を始めてしまうほどであった。
ヨーロッパおよび北アメリカ全土の電報システムは停止した。電信用の鉄塔は火花を発し、電報用紙は自然発火した。
wikipedia.org
これは観測史上最大の磁気嵐だったようです。とはいえ、キャリントンイベントの起きた1859年の世界ではそれほど大きな問題は起きませんでした。
理由は、世界の多くが基本的に電気文明ではなかったからです。
ウィキペディアでも”朝と勘違いして起きて朝食の支度を始めてしまった鉱山夫”くらいの参事にとどまったような、えらくのんびりした解説でしたね。というのも当時はヨーロッパと米国には送電網はありましたが、それでも電気を使った通信インフラは電報くらいで、しかも当時、電報を使う人などまだ一部だったためほとんど影響はなかったのですね。
ところが、今は全部、電気です。
最近でもアメリカで赤いオーロラが観測されたと報道がありましたが、23年から世界中いたるところで、北海道でも赤いオーロラが発生して大騒ぎとなったことがありました。あれはまさに激しさを増す太陽活動の産物だったのです。
さて、そんな1859年級の太陽フレアが発生した場合、現代文明はどうなってしまうでしょう。
想定では、地球上の電気システムがすべてクラッシュする可能性があると言われています。
2010年にアメリカ国立科学財団が、太陽フレアによる壊滅的な影響について警告を発したことがありましたが、そこには『変圧器を含む送電網の機能を破壊し、停電が最大 1億3000万人の米国人に影響し、それらによってサポートされている下水システムの破壊が起きる可能性がある。またシステムの崩壊は、飲料水、食物、薬、および燃料の物流を完全に止めてしまう』とあり、オバマ政権時に巨大な太陽フレアの発生に向けて「国家宇宙天気行動計画」という行動計画を立てており、国家の危機として認識していることがわかります。
1859年レベルの太陽フレアが地球を直撃した場合、想定される出来事は以下のようになります。
・電力送電網の破壊により完全な停電(短期の復旧は見込めない)
・電話・携帯・インターネットの崩壊
・放送網(テレビ・ラジオ)の崩壊
・コンピュータシステムに依存する軍事、銀行、医療、すべてのインフラの停止
・移動手段(車・電車・航空機等)の停止
・物流・食料供給の停止 (自動車・飛行機等は全て動かない)
・その他、デジタルに依存するあらゆるデータの破壊
などですが、これらは簡単に書きますと、「電気で動いているすべてが止まる」ということです。
たとえば、銀行などは必要な対応をしていなかった場合、太陽フレアによるシステムの破壊は根本的となりますので、完全なバックアップシステムを持たない銀行や証券会社のデータは永久に失われる可能性があります。
あるいは、現在はマイナンバーカードなどのデジタル管理が進められていますが、仮に政府がそれらに対してのバックアップシステムをきちんと構築していない場合、国民のデータそのものがすべて失われる可能性があります。
アメリカ政府は巨大な太陽フレアの発生に向けて国家対策を施していますが、日本はどうなのでしょうね。
1859年級のスーパーフレアによる停電は、送電網それぞれの根幹が破壊されてしまうので、復旧は簡単ではありません。自然災害用にモバイルバッテリーや小型発電機などをお持ちの方も今は多いでしょうが、それらも全部壊れます。電子回路からの根本的な機器の破壊となるので、まったく使えなくなりますし、修理もできません。
NASA は、そんな「インターネット黙示録」とも呼べるようなキャリントン級の嵐が、次の 10年以内に 12%あると試算しています。
12%…って、それは正式に慌てていいパーセンテージなのかどうなのかよくわかりませんが、仮に起きると上記のように地球規模での大停電となり、インターネットは完全に遮断。スマホもパソコンも壊滅状態、災害時の頼みの綱であるラジオも電波が入らず情報断絶。コンピュータに依存する国家システムをはじめ、銀行・軍・医療システムも完全停止、くわえてあらゆる物流も完全停止。電車は止まり、車も動かず、フライト中の飛行機はのきなみ落ちる、、と、
ひかえめに言って文明の終焉、再び原始時代の幕開けです。こわいです。
ところが、実は去年から太陽の裏側で強力な太陽フレアが数度発生しており、そのどれも運よく巨大な黒点が地球に向いていなかったために事なきを得ておりますが、とくに2023年3月13日に発生した太陽フレアは、もし黒点が地球側に向けて発生していたら、地球は1859年のキャリントンイベントをはるかに超えるレベルの大参事になっていたといわれるくらい、とんでもない超巨大フレアだったそうです。
米保守系メディアのアメリカン・シンカーの記事には、以下のように書かれています。
> 初期の推定では、この 3月13日の爆発は 1859 年の爆発よりも 10倍から 100倍強力であったことが示唆されている。americanthinker.com
10倍から…… 100倍?!
2023年3月13日…私はその日、子どもから移った胃腸炎で数日間寝込んでおりまして、あまりの重症ぶりに「この世の終わりだ~」とうめいていたのを覚えているのですが、実は本当に太陽の裏側で「もしかしたらこの文明が終わる」レベルの大惨事が起きていたのですね。。
核爆弾なんかで破壊しなくても、文明ってかんたんに破滅させられるんだなぁ…なんてしんみり考えておりましたら、なんと現代にはEMP爆弾といわれる電磁波爆弾がすでに存在していて、それをロシアなどがちらつかせているとかで、次の戦争はEMP爆弾投下による都市破壊のない静かなるインフラ攻撃と言われているらしいじゃないですか。 こらプーチン。
おそロシアの登場で一気に話題がきな臭くなってきましたが、ここで少々救いのあるプチお役立ち情報を。
太陽フレアやEMP攻撃からお手持ちのスマホやパソコンを守るには、ファラデーケージという軍御用達の特殊素材のバッグに保管するのが得策とのことです。これらはアマゾンや楽天でも販売してます。
とはいえ、まぁまぁいいお値段なので、もしファラデーケージではなくても、おせんべいなどの缶にパソコンを入れてアルミホイルを巻き付けて密閉するという原始的な方法でも太陽フレアを遮断することができるそうなので、そういった方法を覚えておくのも一つ、手ではあります。
超巨大フレアにしてもEMP爆弾にしても、発生から影響まである程度のタイムラグがありますから、一報が入ったらサッとファラデーケージ、もしくは缶かんにパソコンやスマホを入れてアルミホイルを巻き付けて、ぜひ難を逃れてください(その際、くれぐれもアルミホイルは頭に巻かないようにお願いします)。
送電線などはこうした事態にある程度の備えがあるはずですから、それなりにいずれは復旧も見込めるかもしれませんが、スマホやパソコンの修理となるとおそらく絶望的ですので、災害時の情報難民に陥らないためにも、こういった防災意識も高めておくといいかもしれません。
さあさあ、宇宙からも地上からも脅威が差し迫るという、どっちかにしてくれよと言いたくなるような、まったくもってカオスな現代ですが、この太陽フレアの影響、実は農機具にも現実に及んでいるというから、農機具屋の店舗スタッフとしては心穏やかでいられません。
ここからが本題。太陽フレアが農機具を停止させる?!
2024年5月21日の日本の情報通信研究機構の報道によると、2024年5月8日時点で大規模な太陽フレアの発生が複数回確認され、太陽フレアの活発化によって太陽で発生するX線や紫外線が急増し、「デリンジャー現象」と呼ばれる通信障害が発生したということです。
この通信障害によってアメリカ中西部ネブラスカ州の農家ではGPSが使えないために、トウモロコシの播種の真っ最中であるにもかかわらず全てのトラクターが停止し、数日間農作業の中断を強いられるという深刻な被害が発生。。
問題の原因はGPSシステムの障害です。センチメートル間隔の高精度な技術を要する播種において正確な位置情報を実現するこの技術は、トラクターや農機具に使用されていますが、太陽活動の活発化の影響で精度が大幅に低下し、多くの農家が作物の播種を中断せざるを得なくなったというのです。
この被害は同時期に日本でも発生しました。
深刻な影響はなかったものの、千葉県内で自動操舵田植え機を使う農家によると、2024年5月14日の作業中に「これまで経験したことがない”ずれ”」が出たといいます。
太陽フレアの影響か断定できないとしつつも、あるメーカーは「今まで見たことがない挙動」と言い、今後大豆やジャガイモの中耕でこのずれが出ると畝を壊す恐れがあるとして、多くの農家が懸念を示す事態となりました。https://www.agrinews.co.jp/news/index/233682より引用
トラクターや田植機にGPSが搭載されているなど、農機具屋に入社して1か月の私には初めて知ることだったので、こうした異常事態が起きていたことを知り、たいへんに驚きました。
もし農繁期まっただなかに田植機が全停止してしまったら、大変な事態ですね。
こうした農機具とインターネットの接続は海外では主流となりつつあるようで、2024年1月には、電波の弱い農村部でもトラクターや除草剤散布機などをインターネットに接続して利用することができるという、SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」とアメリカの農業機械メーカーのDeere & Companyとの契約が発表されるなど、農家向けのコンピューター支援サービスが構築される流れが加速していて、農業とインターネットの結びつきは今後ますます強固なものとなっていっていくようです。
こうした世の中のながれに対して専門家は、農機具のインターネット接続や衛星への依存が食料供給に対する脅威になり得ると警告しています。 今回の事例は、現代の農業がインターネットにいかに依存しているかを改めて浮き彫りにしており、食料供給の安全保障の観点からも注視すべき問題だと警鐘を鳴らしています。(https://gigazine.net/news/20240513-solar-storm-knocks-out-tractor-gps/ https://gigazine.net/news/20240116-spacex-deere/ から引用)
いかがでしたでしょうか。
冒頭、キャリントンイベントを引き合いに出して、少々過激な表現がございましたが、電気によって驚異的な発達を遂げた文明の弊害やら脆弱さが、太陽フレアやEMP爆弾などという脅威によって浮き彫りになりつつあることが、少しおわかりいただけたかと思います。
日本国内ではGPS搭載の自動操舵農機を使用する農家はいまのところ限定的であり、被害もなかったことからまだまだこの問題は一般的に浸透してはいませんが、今後農機具がさらなる進化を遂げた際には、波及する問題も今のように小規模というわけにはいかなくなり、食糧問題に直結する問題なだけに、こういった問題に対してしっかり対処してゆかねばならなくなります。
便利になるってことは、それだけ不可逆的なリスクを負うということなのですね。
とりあえず、1859年級の太陽フレアが10年以内に起こらないほうに賭けたい気分ではありますが、文明を原始レベルに一瞬で戻してしまう強力な太陽フレアが、いずれ、必ず起きるであろうということは、みなさまの胸にも留めておいてくださればと思います。
と言ってるあいだにも、10月9日のニュースで、『大規模な「太陽フレア」で人工衛星・GPS・通信に影響のおそれ 10日深夜以降地球に』という報道がありました。(((((((((((((゚д゚;)https://news.yahoo.co.jp/articles/cd695c51b805a602ae3be7decbd38c557fe359b4
発生したフレアは最も上のクラスの太陽フレアとあるので、G5「極端に大きな」太陽フレアです。
>10日深夜以降、影響が予測されていて、地球周辺の磁場が乱れる「磁気嵐」により、人工衛星に障害が起きたり、GPSの精度が落ちたりするほか、飛行機や船舶で使う通信に障害が出るおそれがあるとしています。
さぁみなさん、太陽は待ったなしです。
頭にアルミホイルを!(かぶらなくていいから)
そんなサイエンスの面からも、激動の現代において農機具や社会について新たな視点で考察してみる良い機会なのかもしれません。
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