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2023/05/01

国際取引のリスクと対応策について

法務担当・IPO準備室の町田です。今回は、国際取引におけるリスクの中身と対応策について紹介したいと思います。

1 国際取引におけるリスクとは

国際取引とは、外国法人との間の取引を意味します。
国際取引では、国内取引と違い、法令や商慣習が異なったり、為替変動、カントリーリスクなど、多様なリスクがあります。どのようなリスクがあるかを把握したうえで、各リスクを低減させるような対応策を講じる必要があります。

2 具体的なリスクと対策例

リスクは、その重要度に応じて対応策を講じる必要があります。そこで、まずは、どのようなリスクが存在するかを把握することが重要です。
国際取引における代表的なリスクとして、次のようなものを挙げることができます。

カントリーリスク

国家経済の破綻、暴動、内乱、革命、戦争などにより、国際送金が停止されるリスクがあります。現在では、ロシアによるウクライナ侵攻による経済制裁により、ロシア間の送金・出金が停止されているため、ロシア企業へ代金を支払うことも代金を支払ってもらうこともできない状況となっています。対策としては、カントリーリスクが低い第三国に銀行口座を開設し、この口座に一定額を決済用資金をプールすることを義務付けることなどの対策が有効です。

為替リスク

外貨建てで取引を行う場合、為替変動による影響を受けることになります。ペソ(メキシコ)・ランド(南ア)・カナダドルなどは、1日で3~4%前後変動することもあり、3~6か月の間に、10%前後変動することもあります。これは、100万円で販売したものが円換算で90万円にしかならない可能性があることになります。利益率にも大きな影響を与えることになります。対策としては、外貨建て取引と円建て取引と組み合わせて行う、または変動が大きい外貨での取引を行わずに、アメリカドルなどの基軸通貨を用いるということが有効といえます

法令・商慣習の違い

個々の国際取引において、どの国の法令を適用するかどうかは、原則として当事者の合意により定めることが可能です。
ただし、当事国の外為法、貿易法、独禁法、刑法、税法などの公法には従わなければなりません。そのため、当事国にはどのような公法が存在し、どのような取引が規制対象となるかを調査する必要があります。日本国内に相手当事国の法令に関する専門家がいればその専門家に調査を依頼することになりますが、いない場合には、相手当事国の国内の法律事務所やコンサルタントなどに依頼することになります。

3 トラブルが発生した場合の解決方法

無事、契約が締結できても、何らかのトラブルが発生するケースは少なくありません。

通常の国内取引では、裁判手続を行うことになります。しかし、国際取引の場合には、原則として相手当事国の裁判手続を利用しなければならないため、より煩雑かつ時間がかかります。そのため、紛争発生時の解決方法を事前に決めておくことが一般的です。

具体的には、仲裁合意を定めることになります。仲裁合意が定められた場合、紛争解決について仲裁機関の決定に従うことになります。仲裁機関は、国際取引に詳しい裁判官や弁護士などを中心に構成されているため、公正中立な解決が期待することができます。

以上、今回は、国際取引のリスクに関して紹介しました。

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