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2022/11/02

在庫管理業務の意義と具体的な内容について

法務担当・IPO準備室の町田です。

今回は、在庫管理の意義と重要性について紹介したいと思います。

1 在庫管理の意義・重要性

(1)在庫は何のためにあるか

在庫を抱えるということは、在庫の管理を行うことになります。

在庫の管理には、場所的・人的な管理コストが発生します。

ただ、在庫がなくても注文を受けることはできますので、在庫は企業活動に不可欠なモノではありません。

そうすると、在庫は抱えないのが最善策ということが大前提ということになります。

それでは、何のために在庫を用意するかというと、主に以下のような理由が考えられます。

①商品を実際に見てもらうことで販売につながる

②販売後、すぐに納品ができる(すぐに欲しいという顧客の希望に合致する)

いずれの理由にしても、在庫を抱える最大の理由は「売上の増加を見込めるから」という点は共通しています。

そうすると、在庫品は売上の増加を見込めるモノでなければならず、販売できる可能性が高い商品であることが必要条件となります。

販売できる可能性が高い商品であるかどうかの判定は、過去の販売実績等の客観的な情報に裏付けられていなければなりません。

そこで、適切な在庫管理を行うには、過去の販売実績の分析が重要な出発点となります。

(2)在庫と財務諸表

在庫は、「棚卸資産」として帳簿の上では資産の部に計上することができます。

資産というと、一見すると価値のあるモノにみえます。

しかし、実際のところは、回収されない売掛金と同様の存在です。(売掛金も資産の部に計上されます)

むしろ売掛金は、管理コストが発生しませんが、在庫は発生しますので、会社にとってはより悪い存在といえます。このことから在庫は、コストを発生させる「負の資産」として認識しなければなりません。

以上を踏まえ、適切な在庫管理の方法について紹介したいと思います。

2 具体的な管理方法

(1)仕入

在庫の量を管理するためには、仕入(入庫)を適切にコントロールするしかありません。売り手は販売(出庫)をコントロールすることができないためです。

仕入が適切であれば、商品はすぐに販売できるため在庫品になることはありません。

そこで、仕入を行う前段階として過去の販売実績等を分析し、販売できる商品を仕入れる必要があります。

過去の販売実績の分析には、売上ABC分析、回転率、交差比率等の手法が用いられます。

①売上ABC分析

まず一定期間内の販売商品を売上金額順に並べます。

そして、上位2割の商品をA群、中位2割の商品をB群、下位6割の商品をC群に区別します。

一般的に上位2割の商品で全体売上の8割を占める傾向があります(パレートの原則)。

これにより商品の販売力、利益貢献度を客観的なデータで把握することができます。

仕入を行う際には、ABCのどこに属する商品であるかを把握することが重要となります。

②回転率

一定期間内に在庫品がどれだけ入れ替わったかを測る指標になります。

販売(出庫)金額÷在庫品の金額=在庫回転率

在庫回転率は数値が高いほど良い評価を受けます。

在庫が10台ある場合、ひと月に10台しか売れなければ、10台分の粗利しか生み出せません。しかし、さらに10台仕入れて、もう10台販売できれば、同じ期間で20台分の粗利を生み出すことができます。

ひと月にかかる固定経費(家賃、光熱費、人件費等)は販売数によって変わりませんので、在庫回転率が高ければ高いほど商品1個当たりの固定経費削減につながり、利益率が高くなります。

③交差比率

交差比率とは、回転率に商品の粗利率を乗じて算定した数値になります。

回転率が高くても粗利率が低ければ利益貢献度は低いことになります。

逆に言えば、回転率が低くても粗利率が高ければ利益貢献度は高いことになります。

商品の交差比率を算定し利益貢献度の高い商品をバランスよく揃えることが会社の利益を最大化することにつながります。

 

これらの手法を組み合わせることにより、各商品の利益貢献度を客観的に分析することができます。

単純に人気商品だけを仕入れるということではなく、商品のもつ販売特性を理解したうえで仕入を行うことで、在庫の量を適切にコントロールすることにつながります。

(2)在庫品の保管

仕入れた商品は、すべて出庫されるまで適切に保管される必要があります。

すべての在庫品に管理番号を付け、商品名、管理場所等の情報をPC等で管理することで、紛失等を防ぐことが期待できます。

そして、定期的に棚卸しを行い、保管データとの間に齟齬がないかどうかをモニタリングしていくことも重要です。

(3)在庫品の処分と処分基準

仕入れた商品が想定期間内に販売できなかった場合、在庫の処分を検討し、在庫品の新陳代謝を促進しなければなりません。

在庫品の処分とは、廃棄も考えられますが、まずは処分価格での販売(値引き販売)を検討することになります。

処分については、処分基準を作成しこれに従うことで、統一的な管理を行うことができます。

処分基準としては、一例として以下のようなものが考えられます。

①想定回転期間の150%を経過した商品→粗利率を50%とした売価

②想定回転期間の200%を経過した商品→粗利率0%(原価)とした売価

③想定回転期間の300%を経過した商品→粗利率-10%とした売価

例<想定回転期間が180日の場合:売価100万円(粗利率20%)>

①の場合:270日経過により売価90万円

②の場合:360日経過により売価80万円

③の場合:540日経過により売価70万円

 

のケースのように原価割れとなったとしてもキャッシュを回収するという目的は達成することができます。

すべての商品を当初の想定どおりに販売できるわけではありませんので、赤字費用は必要経費として考えることもできます。

3 まとめ

在庫管理の中でも特に仕入れ業務は、担当者の長年の勘によって行われることも少なくありません。しかし、仕入れは在庫管理の出発点になる非常に重要な業務といえます。上記のような定量的なデータ分析という視点を盛り込むことで、適正な在庫管理につながり、ひいては会社利益の最大化につながることになります。

また、在庫(棚卸資産)の最小化による会社資産の減少は、利益をより少ない資産で生み出していることになり、ROA(総資産利益率)を向上させます。ROAの向上は、企業の成長性を表すことになり、投資家から高い評価を得ることにつながります。

以上、今回は在庫管理について紹介しました。

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