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ストックオプションの意義や具体的な算定方法について
◆ストックオプションとは
ストックオプションとは、将来、株式を購入することができる権利をいいます。日本語では新株予約権といいます。
新株を受け取る予約権であり株式そのものではありませんので、ストックオプションを受け取ったからといって、直ちに株主になるわけではありません。
予約権を行使したときに、はじめて株主となることができます。
◆ストックオプションの仕組み
ストックオプションは、付与されたときに行使価格が決められています。
行使価格とは、株式の購入価格をいいます。
通常、株式を購入するときは、購入時の時価で買うことになります。
しかし、ストックオプションの場合には、ストックオプションを付与した時点で行使価格が決められており、その価格で株式を購入することが可能です。
つまり、株価が行使価格を上回ってから行使することにより、通常よりも安い価格で購入すること ができます。そして、購入直後に売却することにより、差額を利益として獲得することができるとい う仕組みになっています。
業績が低迷し、株価が行使価格を下回っている場合には、行使する経済的メリットがないため、通常、行使されることはありません。
<具体例>
従業員Aさんに対して、ストックオプションが行使価格1000円で付与されました。(当時の株価は 1000円)
会社の業績が上がり、株価が1500円となりました。
Aさんは、ストックオプションを行使して1000円で株式を購入し、直後に1500円で売却しました。 Aさんは、500円の利益を獲得することができました。
なお、Aさんは、売却益500円について、所得税(譲渡所得)として100円(一律20%)の支払い義務を負います。(誰が、いつ、いくらの税金を支払うかというのはストックオプションを考える上で非常に重要になります)
◆ストックオプションが必要とされた理由
ストックオプションがなぜこのような仕組みになったかというと、税制と深く関係しています。
ストックオプションが考案された経緯について紹介したいと思います。
従業員が自社の株式を持つことによって、給与というかたちではなく、株価が上昇するということによって、売却益を得ることができます。
そのため、経営者は、従業員のモチベーションが上がることを期待して、従業員に自社の株式を保有して欲しいと考えます。
しかし、株価は上昇することもあれば下落することもあるため、従業員の中には株式を買うことについて消極的な人も多いでしょう。
そこで、従業員に対して、株を無償譲渡するという方法も考えられます。
しかし、この場合、法律上は贈与となりますので、従業員は、譲渡された時点で贈与税の支払義務を負います。(贈与税の最高税率は55%です)
将来株価が下落する可能性があるのに、譲渡された時点での株価によって、納税義務が発生するため、譲り受けた側は損失を被る可能性もあることになります。
そこで、株式そのものではなく、予約権を付与することにすれば、予約権を付与した時点では、贈与にはならず、税金を支払う必要もなくなりますし、損失を被る可能性もありません。 従業員がストックオプションを行使して、利益を獲得した際にはじめて、従業員が税金の支払い義務を負うことになります。
以上が、ストックオプションが利用されるようになった主な理由と考えられています。
ストックオプションの失敗例
ストックオプションには、税制適格と判断されるものと、税制非適格と判断されるものがあります。 税制適格と判断されるには、税法上の要件にしたがって発行されたものでなければなりません。 税制適格と判断されると、税金の支払いは、従業員が利益獲得時に、約20%の支払い義務を負うことになります。
税制非適格と判断されると、従業員が利益を獲得した時点で支払い義務を負うことは変わりませ んが、利益部分が給与と判断されるため、税率が累進課税により決定されます。(最高税率45 %)
ストックオプションが行使された場合には、数百万円を超えるような利益がでることも珍しくないため、この税率の違いは、非常に重要な意味を持ちます。
まとめ
今回は、ストックオプションの仕組みや利用されてきた背景についてまとめてみました。 ストックオプションには、従業員の行使後の早期離職を防ぐための条項など様々な行使条件を定 めることが可能です。
ただし、いずれもストックオプションを付与した時点で定めておく必要がありますので、慎重な設計が必要となります。
以上
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