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株式の価値について
経営推進部の法務担当・IPO準備室の町田です。
今回は、株式会社の株式の価値について考えてみたいと思います。
株式の価値
株式会社の起源からすると、株式会社の本質は、出資者の有限責任にあります。
出資者とは、会社を設立した際に資金を提供する代わりに、会社による事業の利益の分配を 受ける権利を有する者をいいます。
株式会社の場合、株主を意味します。
有限責任とは、出資者(株主)は会社の負債を負わないことをいいます。
出資者は会社が破綻した場合には、会社に負債が残ったとしても出資者は返済する必要がありません。
ただし、出資金の返金は受けることはできないため、出資金が損失額の上限ということになります。
このことを、責任が限られているという意味で有限責任といいます。
株式譲渡の自由
このように出資者を有限責任にするということは、会社に資金を貸す債権者からみれば、出資者がいくら資産を持っていたとしても、出資者に会社の負債の支払を要求できない以上、出資者の資産はどうでも良いことになります。
つまり、会社の債権者は、株主が誰であってもあまり影響を受けなくなります。
そのため、株主は、株式を自由に売却することが認められることになります。
◆会社の債権者 → 株主 (× 会社の負債を請求できない)
◆株主 → 株式を自由に譲渡できる
株式価値の算定
株式は自由に売却することができるようになりましたが、売却価格はどうやって決定すべきでしょうか。
簡単な事例で考えてみたいと思います。
①10人が100万円ずつを出資して、合計1000万円で、西インド会社を設立し、インドネシアか らコショウを輸入するビジネスを始めました。
◆会社の資金:1000万円
②コショウの仕入と運送費で1000万円かかりました。
◆仕入等:1000万円を支出
③コショウは1400万円で売却することができました。
◆売却:1400万円
◆利益:400万円
④現在、西インド会社は、現金1400万円を保有しています。
◆会社の資金(現金):1400万円
出資者の一人であるAさんは、自己の株式の全部(10%)をBさんに売却したいと考えました。
Aさん:10%の株式を売却したい→ Bさん:いくらが妥当か?
Aさんが保有する株式は、会社の資産1400万円のうち、10%にあたる140万円の価値があるといえそうです。
このように会社の資産額(純資産)を株式の保有割合により算定する方法を純資産方式といいます。
株式価値を算定するうえで最も簡単な方法になります。
ただ、純資産方式では、会社の成長性や形の無い資産である企業のブランド価値を盛り込むことができないというデメリットがあります。
そのため、会社の特性に応じて、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)、類似会社比較法など があります。(詳細については割愛)
株価の決定のメカニズム
先ほどの事例において、Aさんは、140万円でBさんに売却することは、賢明な判断といえるでしょうか。
結論は、賢明な判断とはいえません。その理由について考えてみたいと思います。
西インド会社には、現在、現金が1400万円あります。
そこで、再びコショウを輸入し売却すれば、前回のリターン率(140%)と同程度の利益がでる可能性があります。
仮に前回のリターン率と同等の収益があげられた場合、1400万円×1.4となり、会社の資産は 1960万円となります。
そうなると、Aさんは140万円で売却してしまうより、次回の取引が終わるまで保有していた方がより高く株式を売却することが可能になります。
他方、Bさんは、西インド会社の業績が今後も上昇すると見込めば、140万円以上でも購入したいと思うはずです。
このように、売り手と買い手は、それぞれが将来の会社の利益予想を織り込みながら、 株価を決定していくことになります。
まとめ
今回は、株式の価値について考えてみました。
株価の算定は、機械的に行われるものではなく、将来の業績に対する購入者(投資家)の期待という主観的な側面が大きく含まれているといえます。
今回は、株式の価値について考えてみました。今後は、上場された株価の変動要因等について 改めて考えてみたいと思います。
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